鳥取県文化振興財団情報誌【アルテ】

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2016January

鳥取県芸術家百華Vol.81 円通寺人形芝居保存会 代表 西村 一重さん

円通寺人形芝居と文楽の違いは

文楽は演じる場所もきちんと舞台が組まれていて、高度な技術を追求していますが、円通寺人形芝居はより一般大衆を対象にした芸能なので、どこでもできるような形であり、そしていかに楽しんでいただけるかというところに重きを置いています。ですから、人形「浄瑠璃」ではなく人形「芝居」という形でやっています。要は、芸術的な価値を評価されたか、地域の芸能として存在するかの違いだと思います。

どのような活動をされていますか

現在の保存会のメンバーは最大で13名。活動は時間も束縛される上に平日が多いので、仕事を定年退職された方が多いのが現状です。

メンバーが中々そろわないことや、道具を移動するのが大変という理由もあり、現在はデコクラブが関係する催しのみに、伝承館※外での公演を行っています。保存会単独での公演を希望されるときは、伝承館へ来ていただくようお願いしています。

自分の一番大きな使命は、伝承館へ来て、生の人形を観て触れてもらうことだと思っているので、要望があればいつでも対応できる体制にしています。ここへ来られた方が円通寺人形芝居を良かったと感じていただければ、知人などに話をしたり、また来てくださったりと、広めることにも繋がると思っています。

また、保存会の存続のために、保存会の人の輪を大切にし、一つになれるよう心掛けています。とにかく楽しく和気あいあいとした雰囲気をつくることを心がけています。

今までに様々な賞を受賞されたポイントは

受賞は、この芸能に対しての真剣さが伝わった結果だと思います。ずっと踊りばかりだった人形芝居に、先代のとき語りが入りました。それから円通寺人形芝居が注目され、受賞につながりましたが、とにかく続けてきたことが認められたのだと思っています。

デコクラブについて

デコクラブの活動は年7回。子どもたちは吸収が早く身につくのがとても早いです。前回、青少年育成大会で行った公演ではとても力をつけました。やはり子どもたちにとって普段の練習と人前で演じるのとでは重みが違うと感じました。

子どもたちにはデコクラブの活動を通して、一人ひとりが自立するように、自主的に動くようになって欲しいと思っています。大人に言われるからするのではなく、自分で楽しんでやって欲しいです。

今後の円通寺人形芝居の展望について

若い世代の育成はなかなか難しいです。まず子どもたちが地元に残らない。僅かな望みとして、いずれ帰ってきて、自分たちのように始める子があればいいなぁと願っています。

後に継げない悔しさをなくしたいという思いや、いつ何時どうなるかわからない不安はあります。しかし、自分が元気なうちは維持していきたいと思っています。地区をあげて市をあげて次世代の育成を行うという形もとれないことはありませんが、今まで活動してきた保存会の方の思いも大切にしながら進めていきたいという思いです。

これからもできるだけ多くの子どもたちに来てもらい、観て触れてもらいたい。裾野を広げていくためにそれが今最も大きな目的です。

練習風景

※円通寺人形芝居伝承館
1991年(平成3年)鳥取市円通寺に建設され、人形芝居の人形や道具類を保管するとともに、 一般に公開され毎年多くの来館者に人形芝居の解説や実演を行っている。(見学は事前予約が必要)

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