鳥取県文化振興財団情報誌【アルテ】

7
2015July

鳥取県芸術家百華Vol.74 日本舞踊家 花柳鮎翠さん

日本舞踊との出会い

3歳の時、祖母の友人が通っている日本舞踊教室の発表会に行った際に「こんなに綺麗なものがあるのか!」と感じたことが、日本舞踊との最初の出会いです。初めて日本舞踊を見た当時の私にはとても衝撃的で、1年かけて両親を説得し教室に通うようになりました。初舞台は4歳のときだったでしょうか、地元の発表会での舞台に立ったことを覚えています。土日に教室や発表会があることが多く、なかなか友だちと遊べなかったことが幼な心に少しだけ窮屈に感じることもありましたが、続けていくうちに日本舞踊の魅力や、歌舞伎や能楽、狂言など多くの芸能とのつながりなど興味深いことを知りました。周りのあたたかい理解と、素晴らしい先生方との出会いもあり、ますます楽しくお勉強させていただいています。

日本舞踊の道へ

高校3年生になったころ自分の進む道に悩みました。一般大学への進学も考えましたが、日本舞踊の道を極めたいという思いが強くなり、東京芸術大学の音楽学部邦楽科に進学。専攻した日本舞踊は、私を含め1学年わずか3名でした。それから4年間、様々な勉強や経験を重ねました。卒業した今では、同じ日本舞踊の道を歩む友だちが近くにいることは、よい刺激でもあり、心の支えとなっています。

養護学校でのワークショップ

現在の活動について

現在は、大学在学中より師事している師匠のもとで、日々舞台やコンクールに向けてお稽古しています。

高校を卒業してから半年後には、東京の国立劇場で開催された「秀舞会」の舞台に「独楽(こま) 」という演目で出演しました。舞台上にひとり、20分ほどの演目です。その舞台に向けたお稽古では毎回が幸せすぎるほどの時間で、師匠の所作の美しさに感動しながら多くの学びを得ることができました。

「秀舞会」国立劇場大劇場(平成24年4月)
演目:常磐津「独楽」

おそらく日本舞踊は動きが少なくてゆっくり、しっとり、といったイメージをお持ちの方も多いのではないかと思いますが、実はそれは日本舞踊が持っている顔のほんの一面なんです。将来鳥取に帰ったときに、自分が教えていただいたことや学んだことを生かして、日本舞踊の笑えたり泣けたりと様々な顔を知っていただく機会になれるよう、もっともっと日本舞踊をお届けしていけたらなと思っています。
 最後に、日本舞踊の楽しみ方として、日本人特有で世界に自慢できる奥ゆかしさが動作の中にたくさん隠れているので探してみると面白いと思います!

「秀舞会」国立劇場小劇場(平成27年4月)
演目:義太夫「二人三番叟」(写真右が花柳鮎翠さん)

目次にもどるバックナンバー

鳥取県文化政策課 県内イベント情報

県民文化会館ホームページTOP鳥取県立倉吉未来中心ホームページTOP鳥取県文化振興財団ホームページTOP