鳥取県文化振興財団情報誌【アルテ】

8
2013August

鳥取県芸術家百華Vol.51 講談師脇坂 幸司さん

ボールルームダンスをはじめたきっかけは?

20代中頃に生死をさまようほどの大病を患った際、医師に「趣味を持つように」と言われました。そのとき、習っていたピアノの先生からダンスを紹介されたのです。当時はダンスホールのイメージが一般的にあまりよくなく、正直、乗り気にはなれませんでした。しかし実際に見てみると、みんなが音楽にのって素敵なダンスを踊っていて「これなら習ってみたい!」と思い、始めたんです。

世間のイメージは良くないままでしたが、習い始めてから健康を取り戻しましたし、本気であることを父に伝えると「行うなら突き詰めなさい」と、ダンス講師への道を勧めてくれました。講師になった後、父が生徒として習いにきてくれました。そこでダンスを理解し認めてくれたのです。

発表会の様子(スタンダード)

ボールルームダンスの魅力とは?

もともと独唱をしていたので音楽は好きでした。だから、社交ダンスの音楽を聴いているだけでも楽しいです。華やかなので見ているだけでも楽しいのですが、踊るとなお楽しいです。魅力を感じるのは、曲のイメージにあわせて喜怒哀楽や日頃感じていることをダンスに取り入れるところ。その表現の工夫に際限はありません。楽しさ、悲しみ…、音楽を聞きながら踊っているととても心が癒されます。

いろいろなジャンルの音楽・リズムがあり、ラテンのジャンルだけでも大きく分けて5種目、そのほかにもマンボ、ジルバなど本当にたくさんあります。その曲々のイメージに合わせて表現も変えられます。本当に奥深くて、辞めることなんてできません。

現在の活動と今後の目標は?

 中途半端にしたくないという思いと、新しく覚えたこと、高いレベルの技術を生徒に伝えたいという思いから、現在も県外のプロの方に教わっています。未だに日々勉強です。ボールルームダンスは娯楽ではなく文化です。このことをきちんと伝えたい。生徒からは県内一厳しい先生・・・とも言われてしまいます。でも、その分、上達されるのは早いですよ。

また、もっと若年層、特に小さな子どもに拡がればと考え活動しています。ヨーロッパやアメリカでは、ボールルームダンスを幼いころから学校教育で習います。マナー、相手を気遣う心を学ぶ大切な文化の一つとして位置づけられているからです。だから、ほとんどの人が大人になっても踊ることができます。一方、日本で習う方は大人、熟年者が中心。現在は、生涯教育として認められ、また学校教育の中でダンスが必須となりました。環境や人材の育成など課題は多いですが、これをきっかけに、ボールルームダンスも、「文化」として、また、子どもからお年寄りまで手を取り合って気楽に楽しめるダンスとして、さらに発展していって欲しいと思います。

発表会の様子(ラテンアメリカ)

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