鳥取県文化振興財団情報誌【アルテ】

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2013July

鳥取県芸術家百華Vol.50 講談師脇坂 幸司さん

講談師になったきっかけは?

平成17年に倉吉市と関金町が合併する際に実施された『まちづくりプロデューサー養成講座「倉吉・関金新発見伝を講談で語ろう」』という講座に参加したことがきっかけです。倉吉市・関金町が「南総里見八犬伝」のモデルといわれる里見忠義公の終えんの地であることから『里見』をテーマにオリジナルの講談を作りました。その後も平成18年に実施された淀屋サミットのために倉吉淀屋※の講談を作るなど、少しずつ演目を増やしながら活動しています。

実は私は小さいころに舌にケガを負い、うまく話をすることができませんでした。ラジオかなにかでたまたま聞いた落語がおもしろく、落語の台本を声に出して読んだら上手に話ができるようになるのではないかと考え、練習していくうちに落語が好きになり、話もうまくできるようになりました。その後も落語好きが高じて、高校では落語研究会を作り、寄席が聴ける関東へ大学進学し、落語研究会に所属していました。そのような経緯もあり、縁あって講談をするようになりました。

講談の魅力は?

講談の演目は史実を基にした作品なので、歴史を知ることができることや、講談特有の節回しなど、奥が深いと感じています。講談を聞いた後に、まちを歩いてもらうと、より深くまちを理解でき、楽しんでもらえると思います。

落語とは似ているようで違います。落語はオチがあるから落語であり、フィクションでもかまわないことや背景描写の説明が少ないことなどが違いとして挙げられます。

講談師をしていてよかったことは?

講談を作ったことで歴史を再認識できたこと。そして、その歴史が地域に定着しつつあること。倉吉市の子どもたちに倉吉の歴史を語り継げるようになり、今では子どもたちで淀屋サミットを開くようになったこと。大阪の淀屋研究会に呼ばれ講談を披露できたことなど、たくさんあります。講談を聞いて、ほかの話も聞きたいとリピーターになってくださる方や、初めて倉吉の歴史がわかったと言ってくださる方がいたときはとても嬉しかったです。

現在の活動と今後の目標は?

現在は、平成19年に国有形文化財に指定された豊田家住宅で講談をしています。倉吉の歴史をお伝えしたいという思いから、もともとは週に1回講談をしていましたが、回数もだんだん増え、今では毎日当番制で講談するようになりました。聞きたいという要望があれば、お客さん一人でもやらせていただいています。また、講談師でいることで、日常で使う言葉にも気を遣うようになり、話し方教室の講師として呼んでいただくこともあります。

今後は、倉吉の歴史講談を増やしていくことが目標です。また、倉吉談語の会で講談師として活躍する人も増やしていきたいですし、いろんなところに呼んでいただけるようになりたいと思っています。

※倉吉淀屋(市指定文化財)は1760(宝暦10)年建築の倉吉市に現存する最古の町屋建物です。「淀屋」の屋号をもつ牧田家は倉吉を代表する商家で、淀屋橋で有名な大阪の豪商「淀屋」と密接な関係を持っていたといわれています。

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