鳥取県文化振興財団情報誌【アルテ】

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2013February

鳥取県芸術家百華Vol.45 和太鼓・津軽三味線奏者 山内 利一 さん

伝統音楽の世界に入るきっかけ

子どもの頃から父の三味線を聞いて育ちました。祖母も民謡が大好きで、しょっちゅう唄ってました。そのうち、知らない間に三味線で遊ぶようになり、見よう見まねで父の弾く曲を覚えました。和太鼓を本格的に始めたのは大学を卒業してからですね。卒業する時に観た鬼太鼓座に感動して「自分にはこれしかない」と思い始めました。

邦楽の楽しみ方

 箏や三味線など“邦楽”と聞くと一般的に敷居の高いイメージはありますよね。  僕も実際に長唄囃子(歌舞伎音楽の打楽器)の稽古に行き始めて16年経ちます。今でも師匠のお宅に入る前からかなり緊張します。稽古場でも張り詰めた空気がずっと流れて、他のお弟子さんたちの稽古を見学している時でも自分が緊張します。急に「山内君、これ出来るやろ。ちょっと一緒にやったって」と言われたりします。一瞬でも気が抜けないんですよ。

 昔から続いているものを後世に残すのはとても大変なことだと思いますね。しきたり、所作、礼儀作法など、音を出す以外でも緊張することだらけです。伝統を守っていくために出来上がった家元制度も、流派を残すためには必要だと思いますが、きっと、これら諸々が「敷居の高いもの」と思わせているのでしょう。けれど「能」「狂言」「歌舞伎」など伝統とされているものは全て娯楽のために作られたもの。「百聞は一見にしかず」と言う諺があるように、実際に観に行くとかなり楽しいですよ。CD、DVDより生を観ることをお薦めします。 
 最近では色んな邦楽器奏者の方が自由に音楽をされています。西洋の楽器と組んだり、邦楽器で洋楽曲を演奏したり・・・比較的若い奏者の方々がこんな活動をされていて、皆さんは口を揃えて「邦楽はカタいジャンルでは無い」と言っています。

現在の活動について

 現在は、日本音楽集団と言う団体に入って演奏をしています。この団体は邦楽器(箏、三味線、胡弓(こきゅう)、琵琶、尺八、笛、笙(しょう)、篳篥(ひちりき)、打楽器)を使ってオーケストラのような合奏をしています。楽譜は五線譜を使っています。演奏する曲はオリジナル曲や古典をアレンジした曲、ポップス、クラシックなど、色んなジャンルの曲を演奏しています。この団体の他に、僕が立ち上げたグループがいくつかあり、日本各地や海外でも演奏しています。その他にいろんな団体にサポートで入ってコンサートに出たり録音に参加したりしています。
 地元での演奏予定は今のところ無く…三味線のCDの発売記念ライブをやりたいと思っているのですが、なかなか実現できずにいます。

山内さんにとって、鳥取県とは?

 いつも気になっている県ですね。駅伝や高校野球でもいつも応援していますね。テレビで「鳥取県の~」と言われるとついつい見てしまいます(笑)。全国的には「砂丘」のイメージが強いですよね。  朝の連ドラで「鬼太郎」でも知られてきていますが、今でも鳥取県の場所を知らなかったり、島根県の中にあると思われたり、人口が少ないとかマイナスなイメージが強いんですよね。そんな県ですが、自然が今でもたくさん残っていますし、時間がゆっくり流れているような感じもありますし、温泉がたくさんあって大好きです。
 もっとメジャーになって欲しいと思う反面、このままであって欲しいとも思いますね。

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