鳥取県文化振興財団情報誌【アルテ】

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2012September

鳥取県芸術家百華Vol.40

声楽との出会い

高校2年生のとき初めてテレビで観た劇団四季の「ライオンキング」のすばらしさに漠然と憧れを抱いたのが、声楽との最初の出会いでした。ちょうどその頃、友だちに誘われて合唱に参加しました。そこには指導者として劇団四季で歌っていた人がおられて、いつの間にかレッスンを受け始めていたといった感じです。何年か後に、本物のライオンキングを見たときには感動しましたね。

そして、ドイツへ

縁あってドイツに渡り、半年ほど語学学校に通いながら地域の男性合唱団の中で歌っていました。ドイツでの生活は言葉も生活習慣も異なり、ストレスを感じることもありましたが、しっかりと自分の人生と向き合う貴重な経験を積むことができました。

そこからプロの合唱団員を目指してオーディションを受けることになりました。ドイツには音楽家を目指す人たちのために公立の斡旋所が各地にあります。日本のハローワークみたいなところです。まずは、その斡旋所で審査を受けるのですが、初めてのことに戸惑い緊張して、自分の歌が全く歌えませんでした。結果、あと半年は頑張ってから出直すように言われて、かなり落ち込みました。

それでも生活のためになんとか掛け合い、いくつかの歌劇場のオーディションを受ける機会を得て、レーゲンスブルク歌劇場への採用が決まったときは、最高に嬉しかったですね。

今後の活動について

声楽は、自分の体が楽器です。取り替えることもできないしお金では買えないもの。自分だけの音。それを聞いて感動してもらえたら、これほど嬉しいことはないと思っています。公演後の溢れんばかりの拍手や、帰り際に手を握り締めて「良かったよ!」と感動を伝えてくれる観客の方たちの励ましに、もっと頑張ろうと思えるし弱気になりがちな自分の自信にも繋がる嬉しい瞬間です。

「声楽は神様から与えられた楽器」と言われることがあります。神様からいただいて最後には神様へ返すもの。それほど貴重な楽器だと思って、これからも自分の声で大切に歌っていきたいと思います。

郷土、鳥取への思い

何かを成し遂げたといった思いはないけれど、鳥取で生まれて、鳥取で育って、鳥取で歌い続けて頑張ってきました。その結果、たまたま渡ったドイツで認められ合唱団員として歌劇場で歌えるという夢をつかみました。それが海外だっただけで場所は関係ないと思っています。鳥取の人たちや環境に育てられて、今こうして歌うことができているのだと感じています。

8月からは新たに採用が決まったオーストリアのザルツブルク州立歌劇場での生活が始まります。音楽の溢れるとても素敵な街です。オーストリアへお越しの際はぜひ歌劇場へお立ち寄りください!

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