鳥取県文化振興財団情報誌【アルテ】

8
2012August

鳥取県芸術家百華Vol.39

ジャズとの出会い

ジャズ、中でもビッグバンドは軽音楽の華だった時代がありました。その頃はダンスも盛んで、ダンスホールは勿論、キャバレーやクラブでダンスミュージックを演奏していたのは、ジャズのコンボバンドやビッグバンドでした。日本でジャズが最も盛んな時代だったのではないでしょうか。聴けば心が踊り、世代を超えて多くの人々の心を捉えていたのがジャズでした。MALTAも映画「グレンミラー物語」を見てジャズのサウンドに憧れ、私も「ベニーグッドマン物語」を見てクラリネットの魅力にとりつかれました。

ジャズを演奏する楽しさ

「ベニーグッドマン」の演奏をきっかけにジャズに触れ、大学に進んでクラシックの勉強を始めた私は、卒業後、鳥取県中部の高校に勤め、最初は合唱に力を注ぎました。学校に管楽器が少なかったためでもあります。合唱は100名近く部員が集まったこともあり、そのうちに楽器も吹きたいというメンバーが増えて吹奏楽もできるようになりました。勤めていた頃は、クラリネットよりもサックスを吹く機会のほうが多くありました。吹奏楽の指導にはクラリネットよりもサックスの方がやりやすかったからです。

退職してからは、専門であり最も好きなクラリネットを多く吹いています。演奏する曲もジャズなどが多くなりました。クラシックは一部でも難しくてできない部分があると、その曲はあきらめてしまうこともありますが、ジャズはどの曲でも自分の力量に応じて好きなように演奏することができます。即興でその時の自分なりの表現ができるのも楽しいことです。ですから、音楽の心を求め、それを思い切り発露することさえできれば、何歳になっても好きな音楽を演奏できるのではないかと思っています。

私が感じるMALTAの“すごい!”―倉吉から世界へ!―

MALTAのサックスには生命力があります。音にも演奏にも生命の躍動があるんですね。サックスを一緒に勉強することになったのは、彼が高校1年生の時でした。とても熱心に取り組み、大学を卒業して渡米、ついには「ジャズ史上の巨匠ライオネル・ハンプトン楽団のコンサートマスター」に就任して来日したのです。倉吉から世界で活躍する素晴らしいプレーヤーが誕生したことに喜び、本当に感動しました。これが彼の日本におけるジャズの歴史のスタートです。この後、フュージョンの演奏やCDも多くなり、これも日本で大ヒットを続けています。

そして今、錚々たるメンバーと共にビッグバンドを結成したと聞いて、いよいよビッグバンドに戻ってきたなと、私は彼の“回帰”を感じています。「ふるさと」を思うように、ジャズにあこがれていた頃から心の中にずっと持ち続けていた「自分のビッグバンドをつくりたい」という思い!彼にとっては、新しい取り組みなのかもしれないけど、私にはどこかノスタルジーに似た思いも感じています。これからの飛躍も楽しみです。

みなさんも是非、躍動に身も心も魅き込まれるような彼のサウンドにふれ、パフォーマンスに酔ってほしいと思います。

ビッグバンドでの共演

昨年の「第10回倉吉天女音楽祭」で市民ビッグバンドを結成、MALTAと則竹裕之というビッグプレイヤーと共演をしました。このために集まった皆さんがとても一生懸命で、当日の演奏は予想以上に素晴らしい演奏になりました。

今年も、市民ビッグバンドを再度結成し、MALTA総合プロデュースの「第11回倉吉天女音楽祭」のステージをめざしています。

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