鳥取県芸術家百華Vol.34

 さまざまなダンス経験とキャリアを持ち、プロを目指すダンサー達の指導を行なう一方で、地元に密着した活動や「とっとりの芸術宅配便」講師として活躍しておられる松本亜矢さんにお話を伺いました。

ダンスの持つ可能性について

 「可能性」って全てその人の中にあるものだと思うんです。
 可能性が未知であることが、ヒップホップダンスの特徴でありそれが魅力の一つではないかと思います。また、「自由」であることもヒップホップの特徴だと私は感じています。たくさんあるダンススタイルの中でも基本的なルールが少ないんです。基礎トレーニングや上達するためのノウハウはたくさんありますが、最終的には自己表現「芸術」なんですね。ポーズ1つにしても、10人いれば、10通りの表現があって◎(マル)なんです。その個性を引き出せて◎(マル)だとも思っています。だから、誰でも出来るし、誰でも楽しめるんだと思います。

震災から1年が経とうとしていますが、ダンス活動をしていく中で心境の変化はありましたか。

 3.11の時は私自身、大きなショックを受けました。
 自分自身に出来ることは何だろう?と、たくさんのことを考え、実際にダンスを通してチャリティイベントもしました。そして、「今の自分を大切に精一杯生きる」これが最終的に出た答えでした。自分に出来ることはダンスしかない。だったら、笑顔で元気に踊っていよう!と思ったんです。ダンスなどの芸術は人の心を癒したり、元気づけたり、「感動」を生むことが出来ます。その感動を伝えたい!人の心が暖かくなったら嬉しいな!そんな気持ちでダンスをバカみたいに踊っていられることに心から感謝しています。

子どもを授かり、今後ダンスを通して子どもとどのように接していきたいと思いますか。

 今、私のお腹の中にいる子は、常に一緒にいても思いもよらないことを感じさせてくれ、自分とは全く違う人間なんだなと実感しています。
 これまで、子どもたちにダンス指導をしている中で、親子の絆をすごく感じることもあれば、血のつながりだけではない大事なものがあることも感じてきました。
 だからこそ、今後も子どもたち一人ひとりを“人”として認め、自分の子にもそうでない子にももっと客観的に接してあげたい。小さな成長をほめてあげたい。そして失敗したことでも認めてあげたいと思っています。答えのない芸術だからこそ出来ることではないかと思います。(インタビュー:2011年12月)


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