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December
2011 |
人間は誰でも年を追うごとに、体力が低下していきます。しかし、身体が衰えることと人生の衰退は別です。例えば、アスリートのように体力も精神力も求められる『役者』は、年を重ねるのと同時に芸に磨きをかけ魅力を増していきます。人が最も輝くとき=『全盛期』にスポットをあててみましょう。 スポーツ選手の“全盛期”について考えると、その人の活躍や記録、人気が全盛期のバロメーターになる場合が多いのではないでしょうか。例えば、サッカーやバスケットであれば得点数、野球であれば防御率や打率など、各選手の全盛期を語る上では多くの場合に活躍・記録が挙げられます。その活躍や記録に大きく関係しているのが『体力』です。 |
バレエやモダンダンスの世界でも、20歳の人と50歳の人とのあいだでは身体的能力に明確な差が出てきます。しかし、日本を代表する舞踊評論家・石井達朗さんは、NDTV※1)の公演を観て、「若手がもっていない深さと豊かさがあります。50歳のダンサーは20歳の人ほど高いジャンプはできませんし、美しい回転もできません。しかし、50歳のダンサーは20歳の人がもっていないものを豊富にもっているはずです。」と語っています。つまり、芸術という側面からみると、ダンサーにとっての全盛期は体力的にピークのときとは限らないのです。 ※1)オランダのバレエ・ダンスカンパニー「ネザーランド・ダンス・シアター」(NDT)の40歳以上(従来ならば現役を引退したベテラン)のメンバーで構成されているカンパニー。NDTは年齢別の3つのカンパニーをもっている。 芸術の世界では指揮者やピアニスト、役者など年齢に関係なく現役で活動を続けている人が多くいます。そして、その中には、重ねてきた経験が財産となり、表現や技に深みが増すことで、パフォーマンスを評価される方も少なくありません。その背景には日々進化するために習練を積むことに加え、「エネルギッシュ」・「ポジティブ」・「アグレッシブ」な気持ち、つまり内なる力『気力』が大きく関係しているのではないでしょうか。 |
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プロスポーツ選手や芸術家だけでなく、サラリーマンにも定年という「引退」の時期があり、多くの人がさまざまな形で「引退」や「退役」を経験するのかもしれません。しかし、“人”として生きている以上は『生涯現役』です。 |
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