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魅力的なまち「鳥取」に(財)鳥取県文化振興財団  評議員 木俣信行

 東日本大震災は、歴史に刻まれて長く記憶されるものとなりましたが、その厳しい状況の中で大きな混乱も無く勇気をもって困難に立ち向かう人々の姿は、世界を驚かせ心をうつものでした。そして災害の中で、人々が冷静に社会秩序を保ちながら行動している姿に、住民の精神的な豊かさと、確固たる倫理観が社会に根付いていることがうかがえました。
 この災害発生の直後に、阪神大震災の経験者から今回の被災者へ、ホルストのジュピターをプレゼントするリクエストがラジオを流れていました。吉元由美による「私たちは誰も一人ではない」の歌詞はメロディとともに被災した人々を癒し、生きる力と希望を甦らせたと言います。災害などの悲劇に直面した人々にとって歌が、音楽が大きな慰めになる例は枚挙に暇がありません。
 私は中学3年以来、主に男声合唱との縁が出来ました。合唱の魅力の源泉は団員の心を一つにした重厚なハーモニーにあります。その響きは文化の違いを超えて人々の心に届きます。鳥取の姉妹都市ハーナウの聴衆が、我々のベートーベンの「自然における神の栄光」に涙していた光景が目に浮かびます。今、私たちの周りには多くの歌、音楽に接する機会があります。ラジオ、テレビ、そしてCD、インターネットと、時間・空間を越えて音楽を楽しむ機会はどんどん増えています。しかし音楽は、聴くより演ずる方が数段、楽しく心を豊かにすることは何方も否定されないでしょう。音楽に限らず芸術に親しみ、生活に芸術を取り込めば、人生は一層豊かに充実します。そうした人々が多く暮らすまちは、魅力に溢れたまちです。パリが、ウイーンが、ザルツブルグが魅力的なように。
 鳥取は芸術を育て、充実させる環境に満ちています。皆さんとともに、芸術を楽しむ人々の輪をひろげて芸術活動を更に充実させ、人生を大いに楽しめる魅力的なまち、精神的に豊かな鳥取にして行きたいものです。



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