鳥取県芸術家百華Vol.19

 「全国初の村全体がNPO」として活動している智頭町の新田地区で、文楽の人形遣いをしている 岡田 一さんにお話をうかがいました。

新田人形浄瑠璃芝居相生文楽とは?

 幕末から明治にかけて博打がはやり、一夜にして田んぼや畑を手放す人々が出ました。村に健全な娯楽をと明治時代の青年・岡田太平治(おかだたへいじ)等によって始められたのが人形浄瑠璃芝居です。1つの人形を3人が息を合わせて動かさなくてはならない人形浄瑠璃に、村人たちの和を求めたのではないでしょうか。初上演は明治7年です。
 以前は「相生会」という名で活動していましたが、人間国宝の桐竹紋十郎(きりたけもんじゅうろう)の指導を受けた際、「相生文楽」と命名するよう指導され今に至ります。

普段はどのような活動をされていらっしゃいますか?

 以前は15演目くらい上演していましたが、今では4つです。上演は年1回でしたが、NPO化してからは、村づくり事業によって年15?16回やっています。今は予約制で上演していますが、ゆくゆくは定期的にやりたいと思っています。その他に、小学生が人形の体験にやってきたりもします。こちらから出向くこともあります。過去には山口市、淡路島、三原町、日野町や米子市のコンベンションセンターで上演したこともあります。

今後の展望について

 大きな悩みが2つあります。1つが運営資金の問題です。村には全部で76体の人形がありますが、人間国宝の作品であることもあり、かしらや体の部分を1つ直すにも多くの費用がかかり、簡単に直すことが出来ない状況です。
 もう1つが後継者不足の問題です。以前は太夫(たゆう)(語り)と三味線も村でやっていましたが、人形遣いのみになり、太夫と三味線はテープで補っています。また、当初は村の跡取り(長男)だけが参加していたのですが、今は女性も参加するようになりました。
 150年近く続いた伝統芸能を今後も続けて行く為にも、智頭町民みんなで文楽に取り組んでいただきたいです。小学校や中学の部活動にも、文楽を取り入れてもらえればと思います。大人になってから覚えたものはすぐに忘れてしまいますが、幼い頃に身に付いたものはなかなか忘れません。子どもの頃から文楽に親しんでもらえれば嬉しいです。


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