笑いは幸せを運ぶ−日本古来の笑いを観る−

 2006年の英レスター大学の調査による「世界の幸福度ランキング」で日本は178位中90位でした。2010年1月の段階でGDP(国内総生産)が世界2位である日本のこの結果は、モノの豊かさが必ずしも幸福に繋がるわけではないと考えることもできます。
 幸福を定義付けることは難しいことですが、幸福をイメージするときに「笑い」や「笑顔」という要素は必要不可欠なのではないでしょうか。「笑いの少ない一日」よりは「笑いの多い一日」の方が幸福であると考えたり、嫌なことがあった日でも、一日の終わりに気持ち良く笑うことで健やかに過ごすことができると考えたりと、「笑い」を普段の生活にうまく取り入れることによって幸福を実感・実現できる機会が増えるのではないでしょうか。
 今回は「笑い」や「笑顔」の効用と、古来より培われてきた日本人の心の豊かさや遊び心を感じることができる「狂言」についてご紹介いたします。

幸せと笑顔の関係

 おいしいものを食べたとき、楽しい出来事があったとき、幸せな経験をしたときに多くの人は笑い、笑顔になります。幸せは笑いや笑顔を運んできます。逆に、笑いや笑顔が幸せを呼び込むこともあるのではないでしょうか。

体験しましょう「笑い」と「笑顔」の効用!

 何も考えずに、口角を上げてみてください。少し明るい気分になった方がいらっしゃると思います。脳内ホルモンであるセロトニンが不足すると気分が沈みがちになり、ストレスを感じやすくなると言われています。そのセロトニンを多く分泌させるための方法のひとつに笑うことが挙げられるそうです。実は口角を上げるだけでもセロトニンの分泌量が増えると言われています。これは口角を上げることで脳が、笑っている、楽しい気分でいると勘違いをしてセロトニンを分泌します。また、「笑う」という行為は免疫力を高める効果があるということも医学的に証明されています。
 この「笑い」と「笑顔」の効用を参考に毎日ニコニコ、病気予防に一日一回「あっはっは」と大声で笑ってみてはいかがでしょう。

日本古来の「笑い」−600年続く「狂言」の秘密−

 600年もの歴史がある狂言の「笑い」についてご紹介します。
 狂言の「笑い」の特徴のひとつに後味の良さがあります。狂言の舞台上で人が死ぬことはありませんし、弱者ではなく権力の強い人が笑い物になるという場合が多いのです。「笑い止め」という、笑って曲(演目)を締める技法もあり、シリアスな内容であっても最後はおもしろおかしく終わる曲もたくさんあります。すんなりと話の中に引きずり込まれてしまい、気付けば笑っていたり和やかな気持ちになっていたりすることもあるでしょう。また、狂言師は長寿の方が多いと言われています。人間国宝である大蔵流茂山家の茂山千作さんも今年の12月で91歳を迎えられます。これは稽古で笑い、実際の舞台でも大声で笑うという生活が大きく影響し健康を保つ結果になっているのではないでしょうか。
 読者のみなさんも一緒に「狂言」を観て病気や不安を笑い飛ばしてみましょう。
幸福の定義は人それぞれではありますが、やはり「笑い」の多い人生は幸せな人生なのではないでしょうか。



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