創造事業 現場レポートvol.6ヤングプロデューサーズ・シリーズ「赤たまねぎの中に潜むもの」

 「アラサー」に「アラフォー」。この言葉が女性雑誌の表紙を飾らない月はない現代の日本。「アラサー」とは「アラウンド サーティー(around 30)」、「アラフォー」とは「アラウンド フォーティー(around 40)」を略したもので、30歳前後、40歳前後の女性を示す言葉として、マスコミなどを賑わせています。
 かく言う私も、34歳。「このまま結婚もせず、仕事と好きなことだけして生きてていいのか?」「子どもはほしいけど、今?」などの不安が宿る、もはや無茶の効かない体と荒れる肌に、この言葉がチクチク刺さらないわけがない。
 そんな中、出会ったのが『トップガールズ』でした。1984年に、イギリスを代表する女流劇作家キャリル・チャーチルが書いたこの演劇作品は、職業紹介所に勤める女性・マーリーンの重役昇進を祝う晩餐会で幕が開きます。そこに登場する異なる時代を生きた先進的な女性たちの言葉や、紹介所を訪れる様々な境遇の女性や家族との会話から、女性の生き方の多様性と、その裏に潜むそれぞれの犠牲が浮き彫りになってきます。
 今年度のヤング・プロデューサーズ・シリーズでは、この珠玉の作品を、イギリスから演出家を招いて、来年3月に鳥取の俳優たちと舞台化します。文化と価値観の異なるイギリスの演出家と日本の俳優が、女性の生きる姿を鋭く描いたこの作品を、共にどう創り上げるのかが、大きな見どころの一つです。
 さて、今回の作品のチラシに写るは、半分に切られた「赤たまねぎ」。年を重ねて成長するごとに、たまねぎの皮のごとく、女の心には一枚、一枚、得体の知れない何かが重なっていくのです。
 『トップガールズ』、現代日本に生きる全ての女性に贈ります。

ヤング・プロデューサーズ・シリーズ
『トップガールズ』プロデューサー 永多寛佳(ながた ひろか)


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