5
May
2010
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男性の話し言葉と同じ音域で、音色そのものが人の声のような 「チェロ」という言葉は、イタリア語の「Violoncello」に由来しています。本来「cello」とは、イタリア語で「小さな」という意味で、「小さなヴィオローネ」という意味になります。ヴィオローネはコントラバスの元になった楽器です。「Violoncello」が英語圏に入って「Cello」と略されました。 16世紀前半にあらわれ、イタリアでは1600年頃までに一般に普及していました。ヴァイオリンやヴィオラとほぼ同じ構造ですが、低い音を出すために形全体が大きく、特に厚みが増しています。弦も太く丈夫に作られています。それに伴って弓もヴァイオリンなどより太くなっていますが、長さは逆に短いです。 チェロの弦を弓でひくと胴体が振動して音が出ますが、エンドピンにより振動が舞台の床に伝わって共鳴させることができます。そのため、コンチェルト(協奏曲)を弾くときにはプラットフォーム(箱形の山台)に乗り、プラットフォームを振動させて音を大きくします。 |
日本で有名なチェロの一つは、花巻市の宮沢賢治記念館に展示されている宮沢賢治(※1)のチェロではないでしょうか。『セロ弾きのゴーシュ』には、賢治自身が実際にチェロを練習した経験が反映されていると言われています。展示されているチェロは、親友の音楽教師
藤原嘉藤治から宮沢家に返還された楽器です。藤原が穴あきのチェロで盛岡の演奏会に出演することを知った賢治が、自分のチェロと交換したため、藤原が所蔵していました。 |