お芝居やコンサートで楽しみな瞬間。公演中はもちろんですが、パンフレットを眺めながら今か今かと開演を待っている時間、少し得した気分になるアンコール・カーテンコール、みなさまはどの時間がお好きでしょうか。
仕事、プライベート共に私が一番好きなのは、客席の照明が暗くなる瞬間です。舞台では客席の照明を「客電(きゃくでん)」と呼びますが、クラシックなど静かな演目の場合はゆっくりと暗くなり、ざわついていた客席内も舞台上へ意識が集中し、ピンと張詰めた空気となります。反対にロックなどでは客電が一瞬で暗くなると、お客様の多くが立ち上がり、客席は歓声と熱気で包まれます。どちらの場合も客電は演出の一つですし、これから始まるという期待感が最も高まる瞬間です。客席を見渡しながら、大きな空間をすっと非日常へと切り替える…実はこれ、指1本でも出来てしまう作業です。しかし、その一瞬に集中し感じる緊張は、私にとって心地良い重みとなっているのです。
みなさまもそれぞれのお好きな瞬間をホールで楽しんでみてはいかがでしょうか。
倉吉未来中心 舞台技術室 中 嶋 満 理 |