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February
2010
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鳥取県境港市出身の漫画家 水木(みずき)しげる氏は、5歳の頃「のんのんばあ」から、妖怪や神様のことを『みえんからおらんというのが間違いのもとじゃ』と教わりました。今回は、水木氏の作品を貫く人生哲学のもとになったさまざまな体験や経験のなかから、そのルーツを探ります。 |
「のんのん」「のんのんさま」「のんのんさん」とは、幼児語で、北海道から鹿児島まで広く使われている言葉です。神様や仏様、お月様やご飯を指しており(現代日本語方言大辞典より)、境港市の上道(あがりみち)ことば研究会が刊行された本によると、『神・仏や日・月など、すべて尊ぶべきものをいう語。「人がいい」時にも使う。「ノンノンサンのやな子」(注:よい子の意)など。』とあります。 「のんのんばあ」は、いろいろな妖怪を知っていて、それぞれの妖怪がどこにいて、どんなことをするのかということを実地で幼少時の水木少年に伝えました。また、境港市中野町にある正福寺(しょうふくじ)に水木少年を連れて行き、「六道絵」を見せます。水木氏は、この絵によって別の世界の存在を知ったと語っています。 |
2月下旬から鳥取県内で上演される、劇団コーロ公演『のんのんばあとオレ』では、自身の生き方を妖怪(小豆はかり)に相談し、亡くなる友だちを「六道絵」の世界まで送っていく水木少年が描かれています。大人の視点で捉えると、「少年の心の葛藤をドラマティックに表現する」ということになるのかもしれませんが、もしかすると、本当にそのような世界が存在するのかもしれません。少なくとも、「のんのんばあ」が言うように、見えない世界を信じる方が心豊かに生きられるように思います。子どもと一緒に目と耳と心を澄まして、辺りを感じてみるのはいかがでしょうか。 |