舞台をつくる そして 舞台といきる
 舞台には見る楽しさのほかにもつくる楽しさがあります。今回は、京都を拠点に国内外で活躍されている劇団MONOの代表であり劇団活動のほかテレビドラマや映画の脚本など幅広く手掛けられている土田英生(つちだひでお)さんに、舞台をつくる楽しさや、演劇を通したご自身の生き方についてお話をうかがいました。

京都を拠点に演劇をつくる意味

 京都の良さはマーケット規模の程よさです。便利さや充分な人口もありながら、東京のように商品の勝ち負けだけに縛られずに済むので演劇が熟成できる。例えば東京に評判が届く頃には、ずいぶん力をつけた状態になっています。だから工房として創作する環境として京都は気に入っています。京都の若い子たちからも「東京に行き活躍したい」と聞きますが、それは個々の自由だと思いますし、良いことだとも思うんですけど、僕は心配しています。東京では出世も早いですけど消えるのも早いですから。やはり、しっかり自力を培うことのできる環境で力をつけることが重要ですね。

小劇場芝居の楽しさとは

 好きな表現を規制のない状態でできるということに尽きます。それに、お客様と役者との距離が極めて近いので反応が直ぐにわかります!今日、テレビや映画等のメディアばかりが注目されがちですが、最も面白いものはこうした場所でしかできないと信じています。

舞台といきる…演劇を通した自分の「生き方」

 私にとって演劇はなくてはならないものです。演劇があるおかげで社会の一員として存在できている気すらします。演劇というフィルターを通して、物事を捉え、考える私にとって演劇のない人生は想像がつきません。劇団を結成以来、ずっと代表を務めさせてもらい20年になりますが、年齢を重ねるだけでは活動の推進力にはなりません。今後良い事も悪い事も起こると思いますが、それを乗り越えるのが楽しみですね。

土田 英生 劇作家・演出家・俳優
1967年、愛知県出身。
1985年立命館大学入学と同時に演劇を始める。
1989年「B級プラクティス」(現MONO)結成。普通の生活の会話や行動から生まれる人間の価値観の違いを軽快なテンポで見せることで評価を得ている。
1999年、第6回OMS戯曲賞大賞を受賞。
2001年、第56回芸術祭賞優秀賞を受賞。
2003年9月より文化庁の新進芸術家留学制度で一年間ロンドンに留学。
現在は劇作と並行してテレビドラマ・映画脚本の執筆も多数行う。近年の主な作品にTVドラマ脚本「東京タワー〜オカンとボクと、時々、オトン」(フジテレビ)や映画「約三十の瞳」など。日本劇作家協会理事。


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