ふるさとを想う、ドボルザークの『新世界から』

きっと一度はどこかで耳にしたことがある有名な曲、ドボルザークの「新世界から」。
日本ではのちにこの曲の旋律を元に作られた「遠き山に日は落ちて」としても広く一般に親しまれています。
4年振りとなるNHK交響楽団の鳥取公演が来年3月に行われるのに先駆け、今回は演奏曲のひとつであるこの「新世界から」の魅力についてご紹介します。作曲家ドボルザークの世界観に浸りながら鑑賞してみませんか。
From the New Worldドボルザーク 交響曲第9番 ホ短調 「新世界から」♪ 遠く離れたふるさとを懐かしむ、望郷の歌
 この作品は、ドボルザークがアメリカ滞在期間(1892年〜1895年)中に作った曲です。巨大なアメリカと黒人霊歌を始めとする音楽に刺激を受け、新世界、つまりアメリカから故郷ボヘミア(現在のチェコの西部・中部地方)を想い作られた作品とも言われています。
 4楽章からなるこの曲には哀愁ある懐かしい音色とともに望郷の念にかられたドボルザークの心境が滲み出ていますが、それは同時にすべての人の心の奥深くにある懐かしい故郷の原風景の記憶に訴えかけ、呼び起こすかのようです。生まれ育った町を離れ、別の土地から故郷を想い、初めて感じる故郷の自然や平穏な生活、懐かしい景色。故郷を離れて暮らす人々の心にも通じるものがあるように思います。
 ゆったりとこの曲を聴きながら、原点である故郷を想い描いてみてはいかがでしょうか。
今回の公演の聴きどころ〜世界屈指のオーケストラN響と新しい才能の出会い〜
 日本を代表するオーケストラとして数々の名演奏を行い、世界でも高い評価を得ているNHK交響楽団の4年振りとなる鳥取公演。
 今回、N響初登場となるボストン・ポップス・オーケストラの指揮者キース・ロックハート、そして弱冠16歳にしてバイオリン奏者のコンクール、パガニーニ国際コンクールでの優勝経験を持つバイオリニスト、イリア・グリンゴルツを率いたNHK交響楽団がどんな演奏を聴かせてくれるのか興味津々です!
■参考文献:
作曲家別名解説ライブラリーE「ドヴォルザーク」 (音楽之友社/1996年)
大作曲家 ドヴォルザーク (音楽之友社/1994年)
伝記 世界の作曲家H ドボルザーク(偕成社/1999年)


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