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リレーコラムvol.11 倉吉絣とレトロのまちづくりに見る文化振興(財)鳥取県文化振興財団 理事  長 谷 川  稔

 名刺は、その人の顔といわれる。初めて出会う方とあいさつする際には欠かせないが、私は未知の方とスムーズに会話に入るために、名刺はもちろん名刺入れにも少し凝り、倉吉絣のものを愛用している。多くの方が名刺交換の時に、この珍しい名刺入れに注目されるので、私はすかさず、しかし、あくまでもさりげなく、かつ強力に倉吉をPRし会話を進めるのである。さほど高価なものではないが、その効果は絶大である。
 倉吉絣は、倉吉絣保存会や鳥取短期大学絣研究室、同絣会、地元の織物作家などにより、今も織り継がれている。天女伝説の伝わる打吹山の麓にあるふるさと工芸館などで入手することができるが、神秘的な天女伝説と伝統ある倉吉絣は、重要伝統的建造物群を擁する「レトロのまち倉吉」として、まことに似つかわしい。
 このように、古いものに新しい光を当てることで新たな輝きを放つものは、伝統工芸の世界だけでなく、広く文化に共通して存在するはずである。倉吉に限らず、新しい光が当たるのを待っている素晴らしい伝統が鳥取県内にはまだまだ多くあるのではないだろうか。そういったものにも目を向け、地域に根差した文化振興を図っていかなければならない。



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