文化芸術のちからがまちを元気にする!「演劇等による創造のまち事業」

演劇には、見る人のこころを癒したり、演じる楽しさや創る楽しさがあります。また最近では、表現力やコミュニケーション力の向上を目的とし、学校や職場でも演劇を活用したワークショップが多く行われています。人と人とをつなげる演劇にもっとたくさんの方のご参加をいただくため、楽しく気軽に参加できるワークショップから専門的に学べるものまで、幅広く開催します。

ワークショップ講師のひとり、西垣耕造さんにお話をうかがいました!

ワークショップとは?

 演劇は否が応でも人と係わって創るものなので、演技を教えるという事ではなく「人と係わる」ことにより相手を支えたり、自分が支えられたりするコミュニケーションの楽しさを発見していこうとすることを視点に、ワークショップを行います。
 子供たちも昔は友だちと一緒に色々な遊びをしていましたが、今日ではゲーム機等が遊び相手であったりします。そのためワークショップでは、真正面から人と係わることの楽しさ、難しさを体験することを目的とし、そこでは間違いも失敗も無く皆でお互いを認め合える関係を築くことが重要です。
 ワークショップと講座の違いは、教える・教えられるではなく、集まった人たちと何かを創ったり、発見したりすることです。

コミュニケーションと表現力

 現代社会では、「型」に沿ってつくられた社会システムの中で生活することを余儀なくされています。上昇志向であふれ、教育や社会の現場でも次々と越えなければならない目標が存在し、表現力も求められます。確かに個々の能力を伸ばせば表現力も高まりますが、私のワークショップの向かうべきところは「相手を支え、相手を存在させ、共に場を創ること」ではないかと考えます。「自分を良く見せる」ことよりも「相手を支え、存在させること」と考えます。消極的になり、自分を抑えることではなく、積極的に「見る」「聞く」「感じる」ことで、はじめてコミュニケーションが生まれるのだと思います。

演劇体験=ワークショップ

 小説や物語を読むというのは、印刷された文字を目で追うという抽象的なものですが、演劇の観客は、役者と同じ空間で物語の中に入り、直接その演劇のテーマや問題と向き合うことになります。そのため演劇は、芸術形態の中で最も具象的なものだと思います。「あのとき」「あそこで」というその場から離れたものではなく、いまこの場で起きていることを問題にしているという点で、非常に具体的なのです。
 私たちは、練習を重ねて何かができるようになったり、長い経験の先に何かを獲得するということができます。身体のいろいろな感覚を使い「やれる様になるかどうか考える前に、とりあえずやってみる」という体験こそワークショップだと考えます。ワークショップに関わる人たちがそこに向かおうとする時の勇気こそが、高度な技術等では得ることのできない喜びを感じさせてくれるのではないでしょうか。

東京演劇集団 風 俳優 西垣 耕造
1965年兵庫県生まれ。1997年東京演劇集団風に入団。『ハムレット』『三人姉妹』など著名な作品に多く出演する。
全国の中・高生、一般を対象にコミュニケーションワークショップを行い、演劇を通して「相手を支え、存在させ、一緒に場を創る」というワークショップを実践している。特に最近では、民間企業、行政機関等からのワークショップの講師依頼も多く活躍中。


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