鳥取県民文化財団情報誌 アルテ
2007年11月
アルテとはスペイン語で「芸術・美術・技巧」などの意味で、英語では「アート」。アルテでは、県民文化会館をはじめ鳥取県内の文化施設のイベント情報を紹介しています。

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 相対音感の私にそんなの絶対無理と思ったのが、ソルフェージュやコーリューブンゲン、聴音などの訓練でした。邦楽の三味線を弾くのになぜこの訓練が必要なの?と疑問でしたが、五線譜使用の三味線演奏には西洋音楽的な訓練が欠かせないということでありました。不思議なことに、コーリューブンゲンは練習していくとそのメロディーがおもしろく感じられ、すべて同じ音に聞こえていた聴音も1年後にはほぼ正確に音が取れるようになりました。メトロノームでの奏法練習も拷問のようでしたが、慣れてくるに従って、クリックなしで刻めるという現象が表れました。人間の感性ってすごい!と思わずびっくり。辛く耐え難い練習もどんどん楽しくなる一方。これは合奏のためだけの練習かと思いきや、それが独奏曲のときにも有効に働くとわかったのはしばらく経ってから。独奏曲の演奏は心臓が飛び出てしまうかと思うほど緊張し、失神寸前。唄を頼りに弾く長唄三味線とは大きく違い、途中でやめてしまえば、独奏曲ですから音楽は止まります。まさに孤独との戦い。テンポもリズムもさらには音楽性までも問われ、生身の自分がさらけだされているような感じです。しかしながら、西洋音楽的練習はこのようなときにこそ、その効力が一段と発揮されるのです。日頃からいかに基礎を地道に練習しているか、基礎にどこまで忠実か、この姿勢が音楽と向き合うとき大事です。

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