鳥取県民文化財団情報誌 アルテ
2007年10月
アルテとはスペイン語で「芸術・美術・技巧」などの意味で、英語では「アート」。アルテでは、県民文化会館をはじめ鳥取県内の文化施設のイベント情報を紹介しています。

 文化芸術が人生を歩む上で、大事(必要)であると答える方が増えてきています。しかし未だに日本人の文化芸術に対する価値観は欧米諸国に比べて低いようです。高度経済成長期より“モノの豊かさ”を求めてきた世代の人々が、現在では多くの文化芸術に触れることで、内面を充実させる“ココロの豊かさ”を求めるようになってきました。次世代を創り上げるこどもたちに文化芸術にふれさせる環境を整えてあげる事、それが私たち大人の使命ではないでしょうか。「こどもの楽園IV」にご出演の宮川彬良氏に、こどもたちの芸術体験についてうかがいました。


兵庫県宝塚市にあるベガホールでレコーディング中の宮川彬良氏にインタビュー。


 宮川さんはこどもの頃、どのような環境の下で、芸術(音楽)と係わっていかれたのですか?
 こどもの頃は、音楽家の家族の中で育ちましたので、その点は一般の家庭とは環境が違ったかもしれません。3歳の時にピアノを習いたいと言って習うようになったらしいのですが、レッスンがイヤでイヤで逃げ回っていた事しか覚えていません。芸術と言えるのかはわかりませんが、音楽との係わりは皆さんと変わりないと思います。
 こども達に対して音楽をとおして豊かな心を育ませる為には、どうすればよいのでしょうか?また、どのような環境を整えてあげればよいのでしょうか?
 芸術を体験させ、こども達に豊かな心を育ませる為には、まず、その環境を整える大人が芸術(音楽)の本質を理解して、こどもにとって芸術(音楽)がなぜ必要なのかを充分理解する必要があると思います。私達のコンサートでも、こども達に音楽を聴かせようと訪れてくれるお客様が沢山いますが、こどもはそのコンサートの鑑賞の仕方で大人(親)に対して疑問を抱きます。芸術が人に与えるものの本質をわからずに、ただ音楽は良いからという理由でこどもに鑑賞させるのでは、強要にしかすぎないということです。「自分はよくわからないけど、こどもには体験させておこう」ではなく、親が積極的に芸術(音楽)を理解し、何が良いのかを見極めて、こども達に体験させていくべきではないでしょうか。
 昨年鳥取県出身のアーティストと共演されていかがでしたか?
 鳥取県だからこうだという印象は、特にはありません。 演奏技術もプレイもレベルが高く、若いパワーで楽しく公演できたと思っています。今年は、「第九」の為に合唱の皆さんが加わるという事を聞いていますので、今から楽しみにしています。

[協力 : 鳥取県民による第九鳥取公演実行委員会]

 最後に今回の公演の主役でもあるベートーヴェンについて、宮川さんの印象をお聞かせ下さい。
 音楽に対してあれほどまでに突き詰めて生涯をとおしたという点では、尊敬する人です。自分には、そこまで音楽を追求することはできないでしょうね。
 彼が演奏した曲を自分自身で聴く事ができないわけですよね。自分であれば、出来上がった作品を聴く楽しみや、公演して評価として頂く観客の拍手が次の作曲活動につながるわけですが、その楽しみも実感できないのに、彼は作曲を続け作品を送り出してきたのですから、常人にはない何かを持っていたのでしょうね。ベートーヴェンが天才といわれる由来はそこにあるのかも知れませんね。




今回の「こどもの楽園IV」は、ベートーヴェンをとりあげて構成されています。耳の聞こえない悲劇の楽聖と呼ばれたベートーヴェンの難聴を中心に伝説についてご紹介したいと思います。
伝音性難聴
 ベートーヴェンの逸話として広く知られているものに、25歳頃に始まった難聴がある。これは次第に悪化し、晩年の約10年はほぼ聞こえない状態にまで陥ったとされている。一説には『ベートーヴェンは耳硬化症という伝音性難聴であって、人の声は聞こえなくても楽器の音なら振動で聞くことができた。』という説もある。この説に関連して、ベートーヴェンは幼少時から既に伝音性難聴にかかっており、年齢を重ねるごとにその症状が悪化していった、という話も時々見られた。また、口にくわえたタクトをピアノに押し付け、歯から伝わる振動を音として捉えていた、という話もあります。この場合は音を『耳で聞く』のではなく『骨で聞く』という骨伝導を利用したものだとされている。
引用 : 古典音楽の集大成ベートーヴェン
http://www.zutuu.net/densetu.html

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